更新日: 2012年11月30日
母からメールが来た。
「あなたが生まれたときはすぐにICUに入って本当に心配しました。病気が分かったときは自分を責めました。
結婚出来ないかもしれない。子どもを生めないかもしれない。一生私が傍にいよう。そう誓いました。
たくさんの手術への痛みと不安。負けずに強く優しくなってくれましたね。
そんなあなたが妻となり母になってくれること、これ以上の幸せはありません。
素敵な人と出会えて良かったね。
つらいときにはいつでも帰っておいで。」
婚姻届を出したというメールへの返事。涙が止まらなかった。
母は、私がお腹にいるとき逆子になったり流産や早産の危険性があったり、子宮の手術をしたと教えてくれた。その影響か、私は生まれつき2つの病気があり20歳までに9回の手術をした。父は仕事で忙しくて、母がいつも傍にいた。
痛みで泣く私を見て母が「自分のせいで」と思っていることは分かっていた。周りに気を使って段々弱音を吐かなくなる私に余計に罪悪感を募らせていたことも。
でも私が気にすることを分かっているから「ごめんね」とは絶対言わなかった。
その代わり、手術が終わったらいつも涙目で「頑張ったね」と手を握ってくれた。病気が治っていく私を誰よりも喜んでくれた。
初めての恋人と結婚して、大切な友達もたくさんいて、私は本当に恵まれていると言うと、それは私が引き寄せたことだと言う。でも私は、母がそういう人を引き寄せる性格に私を育ててくれたからだと思う。
病気があることは不運だったかもしれないけど、全然不幸ではない。健康じゃ気づかなかったかもしれない大切なことをたくさん知った。
お母さん、私を生んでくれてありがとう。お母さんが母親じゃなかったら病気を乗り越えられなかった。病気があっても幸せだと思えなかった。
好奇の視線に堪えられなくて「なんで私を生んだの」なんてひどい言葉をぶつけてごめんね。自分の子供がこんなに愛おしいなんて思わなかった。こんなに大切なのに、お母さんが私を「病気だからいらない」なんて思うわけないよね。
あなたは私を自慢の娘だと言うけれど、それは私の台詞。私はお母さんみたいなお母さんになりたい。
意地っ張りでプライドが高くて泣き虫で本当にそっくり。だから電話じゃなくてメールしたんだよね。私も今はこういう場にしか素直に書けないけど、ちゃんと結婚式の手紙で伝えるからね。もう少し待っててね。