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更新日: 2013年8月9日

kodomo 2

きみがおなかのなかにいるってわかったとき、どんな気持ちだったかなぁ。
いろいろあって忘れちゃったなぁ。

でも、病院で確定とわかった日にとった空の写真と買ってかえったお花の
写真が今も残ってる。
きみにどんなことがあっても、私が守ってあげるから、っておなかに言った
気がする。

おなかのなかで「ごそごそっ」て動いてた感覚がなんだか忘れられないな。
ひとがおなかにいるのってあまりない経験だよね。

生まれてからはよく泣いてたね。眠れなくて、あまりにつらくてパパに
やつあたりしたこともあったよ。生後2ヵ月ごろは腱鞘炎にもなりかけた。

でもね、きみをだっこするのはうれしかったんだよね、とっても。

やわらかくてほかほかで、不満があってぶっさいくな顔でギャオースギャオース泣いてても、
ママがだっこすればたいていの場合ぷすぷす言いながら泣き止んでた。

パパは、遅くに帰ってきても必ず君の寝顔を見ていたよ。ふたりとも恐る恐るお風呂に
入ってるマジな顔の写真が残ってる。
最近「あのころは目に入れてもいたくないほどかわいかったなぁ」とつぶやいてたよ。

歯が生えて見るたびに大きくなって、ウマウマ言い出して、どんどん成長してくなぁと
思ってた。いつ、ママのおなかにいたときのことが聞けるのかな?と思ってた。

ことばが遅く、走り回るきみに発達障害、自閉症の疑いがでたのは2歳半ごろだったね。
インターネットで、自閉症ではない証拠探しで眠れない日がたくさんあった。怖くて泣いた日も。

それからずっと、きみは大好きなかわいいかわいいママの子どもに戻ってこなかった。
。ママのなかでね。

ずっと、「障がい児」なんだ、ってことが頭のなかから抜けなくて、障がいの改善をする
ことばかり考えていた。かわいいさかりに素直にかわいいと思えなかった。

そしてひとによってはすんなりとわかることがママにはなかなかわからなかった。
いくらことばがつたなくても、気持ちは同じってこと。

できないことに怒ってばかりいたね。
ごめんね。もっとやさしくしてあげればよかった。

ママは、きみを通していろんな人と出会ったよ。
人生片道通行くらいな視界だったのが4倍くらいにはなったかもしれない。
それまで見えていた世界だけがすべてじゃないって知った。

いろんなことをして、いろんなひとに出会って、いろんなことを考えて。。。。

心底いとしいきみに、また出会った。

ことばがつたなくても、気持ちがすぐわかる表情。
苦い薬をがまんして飲むこと。
犬が怖くて、道であうたびいつもぎゅっと握ってくる手。
ママがきらいな虫をいつもベランダから捨ててくれること。
ママが宿題をうまく教えられなくてイライラすると
ほんとうに辛い表情をして「ごめんなさい」と言うこと。

保育園で先生たちに「やさしい子」だね、っていわれてたの、ママは
ずっとわかってなかったよ。
でも、最近やっとわかってきたよ。
きみは、すごく不器用だけどとっても一生懸命で、やさしいんだよね。

ママが弱いから、きみが生まれる前に誓ったこと、うまく実行できてないかもしれない。
でも、どんなときも、きみが生まれてくれてよかった、きみがきみでよかったと思ってるよ。

きみがこの手紙を読めて、意味がわかるようになるのはいつの日になるかわからないね。
その日がきたらいいけど、でもこなくても別にいいや。

しあわせならね。
ふしぎとまわりの人に恵まれるきみ、いつでもしあわせでいてくれるといいな。